宝林宝樹微妙音(ほうりんほうじゅみみようおん)
自然清和(じねんしょうわ)の伎楽(ぎがく)にて
哀婉雅亮(あいえんがりょう)すぐれたり
清浄楽(しょうじょうがく)を帰命せよ
七宝樹林くににみつ
光耀(こうよう)たがいにかがやけり
華果枝葉(けかしよう)またおなじ
本願功徳聚を帰命せよ
清風宝樹(しょうふうほうじゅ)をふくときは
いつつの音声(おんじょう)いだしつつ
宮商和(きゅうしょうわ)して自然(じねん)なり
清浄勳(しょうじょうくん)して礼(らい)すべし
一一(いちいち)のはなのなかよりは
三十六百千億の
光明てらしてほがらかに
いたらぬところはさらになし
一一のはなのなかよりは
三十六百千億の
仏身もひかりもひとしくて
相好金山(そうごうこんぜん)のごとくなり
相好ごとに百千の
ひかりを十方にはなちてぞ
つねに妙法ときひろめ
衆生を仏道にいらしむる
<メモ>
宝は、元の字は寶に作り、音符は缶(ふ)。
宀(べん)は祖先を祭る廟の屋根の形。
廟の中に玉・貝(子安貝の形で、貴重なものとされた)・
缶(土製の酒器や水器)を供える形が寶で、
その供えられた物を「たから、たからもの」という。
林は木と木を左右に組み合わせた形。
多くの木が生い茂っているいるところを林といい、「はやし」の意味に用いる。
木を三本組み合わせた形が森で、木々が深く茂ったところであり、
神が住むところと考えられた。
「はやし」は「生(は)やし(成長させること)」という意味であり、
木にはものを生み出し育てる力があると考えられていたのである。
古い時代の人々は、この成長させる力の盛んな所である林の近くで生活した。
樹は、音符は尌(じゅ)。尌は鼓を手で打つ形で、農耕儀礼に関する字である。
尌に木を加えた樹は、鼓を打ち鳴らして樹木の生育の力を促すことを示す。
微は長髪の巫女を打つ形に彳を加えたもの。
彳は行(十字路の形)の左半分だから、
道路において、敵方の巫女を殴って
敵の呪力(まじない力)を無くする呪術を行うことを微といい、
「なくする、そぐ、よわめる」の意味となる。
なくするの意味から、「かすか、ほのか、ひそか」の意味となる。
敵軍の眉飾りを加えた巫女をとらえて殺し、
その呪力を失わせることを蔑といい、「ないがしろにする、さげすむ」の意味となる。
微・蔑は相似た呪的な行為をいう字である。
妙は「すぐれる、くわしい、たえ、うつくしい」の意味に用いる。