生け花や 浮き世の水にだまされて
花は咲けども 実らざりけり
彼はこの句について
「枝葉苦はあるが、根が断ち切られているから、根本苦は解決されているという詩。」
という解釈を紹介してくれた。
どうもS会というところにおいてよく引用される句であるようだ。
世良次郎君はこの解釈にについて
「なにか釈然としない気がする」と感じる。
感じ、である。
根本苦、というのは無明ということだろう。
無明というのが苦しみの原因である
この根本原因を断ち切ることによってしか現世の尽き果てぬ
苦しみはなくならぬというようなことだろう。
根本苦が断ち切られていればたとい現世の種々の苦労はあろうとも
それは都度喜びに転じられていく、といった。
しかし、次郎君はこの句の続きがなければならぬと思う。
「根のない花はやはり悲しい」からである。