Quantcast
Channel: 能寿のブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5682

義無きをもって…

$
0
0
 「戦争は罪悪であると同時に人類の敵であるから止めたがよい…」
 1937年(昭和12)年9月、日中戦争の最中に彰元師は、在郷軍人のK氏を呼び止め、周囲の人にも聞こえる大きな声で訴えた。地元の出征兵士を村中挙げて見送る道中のことである。K氏をはじめ周囲の人は、一瞬、驚きを隠せなかったことだろう。K氏は「今度の戦争は平和を目的とした戦争だ」と彰元氏に反論した。K氏は、その場の空気が乱れることを恐れ、すぐさまに反論したのである。もちろん彼は日中戦争を「平和を目的とした戦争」と疑うことなく考えており、いわば模範的な国民だったのである。当時、日本中の人が、天皇を中心とした神の国である日本の「国民(臣民)」だったのだ。一方、彰元師は、冒頭の発言で自らを「非国民」と宣言した。
 私たちが自身を「国民」と名乗った時、他国は「異国」「敵国」となる。オリンピックの、メダルに一喜一憂する時も、知らず識らずに私たちは「国民」になる。そんな私たちに彰元師は、今も「国を超えよ。非戦に生きよ。仏の教えに生きよ。」と呼びかけているのだろう。今こそ、その呼びかけに耳を傾ける時ではないか。

ーー〈2016年度 “彰元さんのつどい”パンフより〉ーー



Viewing all articles
Browse latest Browse all 5682

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>